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【本革学校】本革の価格のからくり

当店が販売する本革は、商社の中間マージンが無いので他店と比べても安価かと思います。
本革に限らず、大手商社や問屋さんなどを介さずに、お客様と生産者(製造者)が繋がる取引が増えてます。
本革の業界も他の業界に遅ればせながら、当店を含め、そのような取引が増えてきています。

当店では、徹底的に適正価格を追求してまして、
これまで商社や革問屋さんの取り分だった利益をお客様と職人に還元する形で料金設定をしておりまして、
当店がバンバン販売を行うことで、お客様への価値の提供と、皮革業界の繁栄に貢献できればと考えてます。

お客様や、お店側の懐事情によって販売価格を変えることがないよう、
オプションの詳細まで料金表を作成して、値引き販売を一切行わず、ポイント還元率すら常に一定に設定した『適正価格』にて販売を行っております。

また、当店の価格設定方法は単純明快で、
製造コストに一定割合の利益を加味したものになっていまして、当店の商品価格の差は、製造コストの差とイコールだとお考えください( ^^) _旦~~
なので、お客様にとっても、お店にとっても、どの商品は割が良いとか、悪いということが、発生しようがない状態になっています。

そこで当ページをご覧頂いている方に、
裏事情的な豆知識として、本革の価格差の理由をお伝えさせて頂きます。
(ご存じの方にとっては、大した情報じゃないかもしれませんが、良ければどうぞです。)

▼各床革が安価な理由

本革は、オモテウラで呼び方が違いまして、上層の皮部分にあたるオモテ面を「吟面」、その下にある下層肉側のウラ面を「床面」と呼んでます。
吟面は毛穴が見える外気に晒される鍛えられた丈夫な革で、「吟面革」「吟付き革」「1番目の革」などといって、
一方、床面は外気に晒されることなく、しなやかで傷が少ないのが特徴で、「床革」「2番目の革」と呼ばれています。

平均的な牛皮の厚さは2~4mm程度になるんですが、
吟面革で0.6mm、1.0mm、1.5mm、2.0mmといった薄口の革の注文が入った場合、(※当店では通常在庫革となっている厚み)
ご指示頂いた厚さに漉き加工を行う訳ですが、その漉き加工の副産物として、床革が生じます。
この床革もバッグや靴など様々な用途に使用ができるため、元々1枚だった革が2枚分販売ができてしまいます。

なので、床革として販売している革はかなり安価に設定しています。

ちなみに、平均的な牛皮の厚さは2~4mm程度とのことでしたが、
当店では漉き加工をしていない革を『原厚』と表示させていただいております。

厚みが必要とされる方にとって過大表示とならないように、当店では原厚(±0.5mm)と表示させて頂いています。

逆に漉き加工をしている厚みは±0.2mmと表示いたしております。

▼型押し革が安価な理由

本革の材料である『原皮』には、Aランク、Bランク、Cランクといった感じで、ランク分けされています。
Aランクの革は、肉質が良く、厚さも十分で、キズや汚れの少ないものになっていまして、
Bランクは少し品質が劣り、Cランクは加工次第で利用価値が生まれるものという感じになります。
(Dランク、Eランクと呼ばれるようなものも一部ありますが、いわゆる粗悪品レベルなため商品には使用していません。)

当然に、Aランクの原皮を原料とする革は高くなるんですが、Bランク、Cランクの原皮を原料とする革は安くなります。

ヌメ革に使用するような革は、
表面の加工は行なわず、色付けすらしないで販売することから、Aランクの革でなければ残念な革をお届けすることになってしまいます(^^ゞ

ただ、型押し革のように、露骨な表面加工を行う革であれば、少々表面に難があったところで、ほとんど無かったことになってしまうため、
BランクやCランクの原皮が使用されてまして、加工の工程はヌメ革よりも何工程分も多くなるんですが、それでも安価に抑えられてしまいます。

同じような理由で、色付け方法が、顔料仕上げの革は、染料仕上げの革よりも安価になります。
顔料の性質上、表面にビッチリ塗料を付着させる色付け方法になっていることから、ランクが低めの原皮が使用されることが多いです。

有名ブランドでは、型押し革や、全面プリントの革が超高価に販売されていますが、
それはブランド価値の賜物で、安い材料を高く販売されているという感じです。

ちなみに、
Bランク、Cランクの革とはいえ、
傷だらけの革であっても、表面をヤスリ掛けするなど、表面をキレイにすることもしていますし、
逆にあえて、キズを残した自然な状態を『味』として打ち出しているものもあります。

どちらもご要望頂ければ、随時対応可能ですので、費用対効果やお客様の価値観に合わせて、諸々ご相談ください<(_ _)>

▼厚さが薄い革が安価な理由

牛も人間と一緒で、個体差というものがありまして、
皮の厚さも、牛によって違います。

厚い革は、漉いて薄くすることはできても、
薄い革は、厚くすることができません(^^ゞ

先にも説明した床革を取るにも、薄いものでは無理だったりするので、
薄い原皮は用途が狭く、取引価格としては、ランクが低いものとして取り扱われています。

そんなこともあって、当店でもヌメ革系でも、クロム革系でも、薄口の本革は比較的安価に設定されています。

▼クロム革が安価な理由

別ページでも解説してますが、皮を革に変える鞣し方の違いによって、
植物由来の水溶性化合物のタンニン剤で鞣す『ヌメ革』と、
人工的に製造したクロム剤で鞣す『クロム革』に革種を分けることができる訳ですが、

タンニン鞣しは、自然な製法であるがために、
加工時間が長く、製造量を増やしにくいので、革1枚にかかるコストが大きくなってしまいます。

一方、クロム鞣しは、
加工時間が短く、大量生産も可能で、より安価に製造することが可能です。

クロム鞣しは、品質が安定しているので、製造時だけでなく管理の際にもコストがかかりにくく、
より安価に提供できる革になっています。

諸々解説させて頂きましたが、
要は、分厚くて、表面加工の少ない、染料仕上げのヌメ革が高くて、
薄くて、表面加工を施した、顔料仕上げのクロム革は安価で提供できます。という感じです。
値段だけでなく、ご用途に合わせて革を選ばれるかと思いますが、ご参考まで。

他にもご質問頂ければ、順次回答をUPしますので、お気軽にお問合せください<(_ _)>